古代の世界では、どのようにして口腔内の清潔感を保っていたのでしょうか。インドでは、スシュルタ本典という医書に口腔清浄、歯ブラシ、歯磨き剤、歯石除去に関する記述があります。「朝は早く起きて歯を磨け、歯ブラシは虫食いのない木の枝、12指程の長さ、小指の太さくらいの節なしの瀧木で、味は収斂性・苦味・甘味・刺激性のあるもの」とし、それを噛んで房状にして使ったようです。中国においては、金属製の小楊枝が古くから使われていたようです。1世紀ごろに仏教伝来とともに房楊枝もインドより伝えられています。B.C.400年代には、哲学者アリストテレスが「健康の書」にて「起床とともに手を洗い、口を漱ぎ、目と鼻の穴を掃除してください。それから目の粗いタオルで歯を磨いて下さい」と記述しています。ローマでは、金・銀・青銅製、乳香樹の楊枝が盛んに用いられていたようです。方法などは違えど、古代より口腔衛生思想は発達していた事がうかがえます。
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